食べ物が届く先には、5つの層がある

葛藤があると、エネルギーはそこでロスする

パンケーキ、好きですか。
今日パンケーキ食べたいと言われて、久しぶりに作りました。完全に感覚で作りましたが、見事においしくできました。
ユグラボでは、レシピは素材にきけば教えてくれるので、感覚で作れるとお伝えしています。ただし例外があって、仕上がりの形が決まっているものは、ある程度セオリーに沿わないと、その形になりません。
僕らが料理やお菓子を思い浮かべたときに頭に浮かぶ形や味は、素材がそうなりたがっているわけではなく、あくまで人間の側の理想です。だから、その形にしたいなら、構造のほうを先におさえる必要があります。
ということで今日は、パンケーキのレシピ構造の話。
ひとつは、スフレパンケーキのようなもの。こちらは構造としては、ゆるめのスクランブルエッグを作って、それを粉でつないで高さの出る構造にしていく、というイメージで組み立てられています。今日はこちらは扱いません。
もうひとつが、昔ながらの普通のパンケーキ。こちらはパン作りのイメージで考えると、うまくいきます。
この構造でいちばん大事なのは、最終的な生地の硬さです。
ゆるすぎると、焼くときに生地が広がりすぎてクレープになります。硬すぎず、ゆるすぎず、生地が円で止まる硬さを出す。ここだけです。
パンを作ったことがある方はわかると思いますが、生地の硬さは基本的に、水と粉の割合で決まります。
なので、パンケーキの硬さの生地を作ろうと思ったら、加水100%——粉と同量の水分があれば、だいたいいい感じになります。
| 粉(小麦粉・米粉など) | 100g |
| 水分 | 100g(粉と同量) |
| 砂糖 | 甘みを加えたい分だけ |
| 油分 | 水分の45%くらいまで |
水分にあたるものは、たいていこのあたりから選びます。
米粉で組むと、こうなります。
| 粉 | 米粉 100g |
| 水分 | 卵 1個(約50g)/豆乳 40g/甘酒 10g |
| 砂糖 | 甜菜糖 10g |
| 油分 | 米油 20g |
水分は、卵・豆乳・甘酒を合わせて、米粉と同量の100gになるようにしています。卵を先に計量して、そのあと合計100gになるように残りを足していくと、やりやすいです。
粉を小麦粉に変えても、水分の内訳を変えても、合計が同じなら、生地はだいたい同じところに着地します。これが構造で考えるということです。
商品開発と聞くと、1から作るんですね、大変ですねと言われます。でも実際は、料理やお菓子のレシピを1から作ることは、どんな職人でもまずありません。
食の世界は、レシピ同士の境界が本当に隣り合わせです。少しやりすぎると、別の料理になってしまう。
そして歴史的に、この料理はこういう見た目でこういう味、こういう材料が入っているからそれが成り立つ——という了解ができあがっています。先入観のかたまりです。
だから、たいていの人は料理名や商品名で先入観を持ってから食べます。
その先入観とのズレが小さくて、そのうえでオリジナリティが感じられたり、配合や製法が絶妙だったりすると、喜ばれます。
構造をおさえて、そこからどうずらすか。これが商品開発のキモです。
今度レシピを見る機会があったら、材料の並びではなく、粉と水分の割合を先に見てみてください。だいたいの料理は、そこで正体がわかります。

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