私の好きな小説家の一人のある本の中で、とても印象に残っている言葉があります。ある大学生のブログを見ていて、ふと思い出したので、ちょっと引用してみようと思います。
ある寡黙なフランス人とその仲間が、小説家を志そうと決心する日本人にむかって励ますシーンです。
「才能について、僕の伯父もよく言うんだよ。常にアトリエで泥まみれになっていて、僕の顔さえ見れば、言うんだ。-----どうだ、好きで一生やりたいものが、まだ決らんか。大学で勉強している西洋史なんて、ただの教養だぞ。自分は泥いじりが好きだから、職人になって一生泥いじりをした。才能なんてなかったし、そんなものは信じなかったが、いくつか物を制作したら、それを見て世間の人が、傑作だとか、ロダンを継ぐ才能だとか、褒めたり、おだてたりするが、可笑しなことだ。自分は才能はない、ただあんな物を創ることが好きなだけだって-----」
「大彫刻家ブルーデルが愛甥を励ます言葉は、そのまま君にも適用できるよ。僕はただ、君が健康になって、幸福な一生を送れるようにと願うから、好きな文学をやれとすすめるだけだよ・・・・・」