10年程前、重ね煮という調理法を勉強しに岡山のとある宿に行った時でした。
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重ね煮というのは、お鍋の中に食材を、陰陽の法則に従って層にして並べ、
極弱火で野菜の水分だけで蒸し煮にするという調理法です。
火がじっくり入るため、甘みも出て、陰陽の調和した、
まろやかな料理に仕上がるのが特徴です。
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重ね煮には、最後に、味付けとは別に重ね塩というものを振ります。
それで、その宿の主人が重ね煮に塩を振ってくださった事がありました。
「よーくみててくださいね、塩を振っていくと、
ちょうど良い時に(野菜の)色が変わりますから〜。。。。。。。。
そろそろですかね。。はい!変わりました!」
そう言われた時、確かに、お鍋の中の野菜たちが、一瞬にして輝きだしました。
そればかりか、爽やかな風がお鍋から吹き上げていたのです。
私はとても驚きましたが、ふと周りを見渡すと、わかったと感じた人は少ないようでした。
塩の加減だけで、ここまで料理が変わるとはとても驚きだ!と感動したのを今でも覚えています。
有り余る歓喜を家に持ち帰り、早速友人に感動を伝えようと、
説明し、感じてもらいましたが、さっぱり伝わりませんでした。
こんなにはっきりと変わるのに、伝わらないのはショックでしたが、
これは特別な事ではなく、誰にでもわかり、昔の人が自然と感じていた事だと思い、
料理の秘伝のように確信し、これを機に研究し始めたのでした。
当時、気功体操を早朝していた事もあり、感覚の敏感な気功仲間にはよく伝わったのですが、
普通の人にはなかなか伝わらず、四苦八苦していましたが、
当時練習していた呼吸法からヒントを得て、
野菜の呼吸がある事を誰でも体感出来る方法を見つけたのでした。
見つけたといっても、一流の料理人や古人が自然とやっていた事を、
体系としただけに過ぎないでしょうが。
現在は、料理教室やセミナーなどでも教えていますが、
参加者の方から、「怪しい」、「私には無理かな」っと言われる事も多いのですが、
実際にやって見ると、野菜に呼吸があるというのが、自分の体験を持って感じられているようです。
体験に勝る、理論は多分ないと思いますからね^^
野菜にも呼吸があるなら、阿吽の呼吸で料理してみたいものです。
次回は、
フードサイコロジーの柱でもある、ブリージングクッキングとでもいう、
呼吸の感じ方を触れていこうと思います。